「チェコの絵本をいつか翻訳して日本に紹介したい」
中学生ぐらいの頃から、そう心のどこかに決心のようなものができて、すでに長い歳月が流れていた。その夢がかなったのは、ちょうど40歳になった年だった。日本ではロングセラーでおなじみのズデネック・ミレル氏の絵による「もぐらくん」の絵本が、約40年ぶりに日本で出版されることになり、その絵本の翻訳を手がけた。
最初にチェコの絵本に出会ったのは8歳の時だった。親の都合で住むことになったチェコスロヴァキアという国は、絵本の宝庫といってよかった。最初にチェコの絵本を手で触れたときの驚きを、今でもありありと思い出す。
チェコの友達の家へ遊びに行ったときのこと。子ども部屋にもちゃんと本棚というのがあり、そこに分厚くて大判の絵本や、ボードブックが少なくとも20冊くらいは並んでいた。
「これ、面白い本なのよ」
まだチェコ語ができない私に、友だちは大きな絵本を引っ張り出すと開いて見せてくれる。その絵本を自分の膝にのせると、ずっしりした重さが伝わった。ページをめくると、大人が読むのかと思うほど字がびっしり。それなのに、何ページかに1枚は深い色合いの絵が入っていて、日本の絵本とはだいぶ違うなあ、という印象を受けた。






