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ミャンマーの街の風景といえば、真っ先に浮かぶのが、色とりどりの民族衣装。ミャンマー伝統の織物柄、インドネシアのバティック柄、コットンのプリント柄、格子柄、日本の着物柄。南国らしい明るい柄の組み合わせで、街の中は数え切れないほどの色彩が溢れています。 民族衣装が今も普段使いとして用いられているといっても、もちろん儀礼のときに着る正式なものを着ているわけではありません。正装では、ロンジーの上に、男性は「タイポン・エンジー」という上着を着て、女性は腰より上の短めの「インポウン・エンジー」という上着を着ます。(「エンジー」は上半身に着るものの総称。)学校の先生たちは、毎日このような服装をしていますが、普通の人たちの普段着は、もっとラクチンなもの。男性も女性も、Tシャツと合わせたり、半そでのシャツやブラウスと合わせたりするのです。女性の場合、ロンジーと色や柄を合わせた布で、エンジーを着ることも多くあります。若い女の子たちの間では、ロンジーをスカート風にしたものや、長いタイトなスカートにスリットを入れて着るのが人気のようです。それも可愛らしいけれど、おばあさんたちのスタイルも愛らしさでは負けていません。ロンジーの色に合わせた、卵色や水色、薄紫色などのパステルカラーのレース地のエンジー。甘い色を見事に組み合わせ、おだんごあたまには、きれいな天然の花をあしらっています。最近ちらほらと見かけられるようになったジーンズやスカートの波に押されて消えていってしまうのかと思うと、ちょっぴり寂しいものです。こうした普段着は、大量生産の既製品ではなく、そのほとんどが一着一着手作りされます。ミャンマーの市場には、こうしたオーダーメイドを支える、生地屋と仕立て屋がたくさんあるのです。 ミャンマーで、このように今でも民族衣装が日常着になっている背景には、経済的、政治的、宗教的な、さまざまな理由があるとされています。長い間の輸出入統制政策は、外国からの洋服が安く大量に入ってくることを拒みました。また現在大学では、ロンジーの着用が政府によって義務付けられていたり、公の場ではロンジーによる正装が求められたりしています。ミャンマーの上座仏教のシンボルでもあるパゴダに参拝するときは、肌を露出することは好まれないので、足を見せるような短パンやミニスカートは禁止されています。けれども、ただ単にそうした力が働いただけではなく、ヤンゴンの暑さや湿気と上手く付き合うには、そしてこの社会に上手く溶け込むには、やっぱりロンジーを着るのが一番なのかもしれない。実際に私もミャンマーの風景の一部になって街を歩いてみると、そう感じるのです。 |